Dumbleアンプ、そのサウンドとは?【UAFX-ENIGMATIC】

Dumbleアンプ、そのサウンドとは?【UAFX-ENIGMATIC】

先日発売となったUAFX ENIGMATICのレビュー動画を作成しました。そんなおり、渋谷店スタッフからも「DUMBLEの音、というのがよくわからないので説明を」という声がありました。と言う訳でUAFXのサイトにもあった「1970年代のSanta Cruzモデル、80年代のSkylinerモデル、そして90年代のHRMモデルと代表的なODSトーン」とは何なのか?そしてその音をピックアップしてご紹介したいと思います。

DUMBLE -SANTA CRUZ ERA-

サンタクルズ期というのが初期のダンブルアンプを指します。この時代はフェンダーアンプのトランス(トランス本体および電源回路)を流用して、まさしく「カスタムアンプ」の名に恥じないダンブルアンプを製作していた時代です。いわゆるHODROD AMPというのは(ハイゲイン化したヴィンテージマーシャルの様に)現存のアンプに手を加えてカスタマイズを行う事ですが、カスタムアンプというのは異なる回路/パーツ同士を掛け合わせて現存しないアンプを作り出す事を指します。そのためハンドメイド感が溢れているのが特徴です。当店でもシリアル1桁や2桁のダンブルを過去にお取扱いさせていただきましたが、この時代のダンブルは回路を一切隠しておらず、誰でもコピーできます。しかし単純に回路をコピーしても同じ音や挙動になる事がないため、多くのアンプビルダーが「ダンブルは何かのマジックを使っているとしか思えない」と不思議がった、という逸話もあります。

“REVERB” が削られたODR 100 HEAD

最初期のOVERDRIVE SPECIAL(以降ODS)アンプ本体のモデル名はおそらくコンピューター文字(オートミッション・フォント)で描かれており”DUMBLE”の表記はロンバルディア大文字で描かれています。モデル名は後にクーパーブラック?に変更されます。基本的にはフェンダーのパワーアンプ回路(100Wの場合は主にシルバーパネルのツインリヴァーブなど)に独自のプリアンプセクションを組み合わせています。中でもREVERBを搭載したOVERDRIVE REVEBモデル(以降ODR)は珍しいモデルです。さらにODRにTREMOLOを加え、150W仕様にバージョンアップ/チューニングに手を加えたものがスティール・ストリング・シンガー(SSS)と呼ばれるモデルになります。
この時代のDUMBLEアンプは「レアなパーツ」というよりは「音で選ばれたパーツ」を組みあわせており、滅多にありませんがプリアンプ回路修理の際などは「同じ時期/近いロッドのパーツ」を選ばないと音に違和感が出てしまう事もあります。修理によっては近い年式のパーツを搭載したフェンダーアンプを探してきて、パーツを移植させる事もありました。本当にレーシングカーの様に反応が早く、高出力でありながら繊細…という、操作も維持も大変なアンプでもあります。
このSANTA CRUZ時代のダンブルアンプといえば最近JOHN MAYERがDEAD & COMPANYで使用しているODS、SANTANAが長年愛用したODR、JOHN MAYERが自身のバンドで使用するODS/ODRなどは初期のダンブルアンプと呼べるでしょう。
この時代のOVERDRIVE SPECIALは名前こそ「オーバードライブ」ではありますが、音色的にはクリーンからクランチのサウンドが特徴的です。

オーナーの名前が削られたSMALL SPECIAL 100

SRVのダンブルとして有名なSSS(この動画ではブラックフェイスSSS)に始まり…

この時↓のERIC JOHNSONはFENDER SUPER REVERB2台、MARSHALL PLEXI、そしてセンターにDUMBLE SSSを配しています。かなりレイヴォーンに近いセットアップです。00:34あたりのミュートブラッシングの音を聞けばSSSからとんでもないサウンドが出ている事がご理解いただけるでしょう。

その少し後、モデルロゴが筆記体フォントに変わりレイアウトなどに変更があります。さらにその後、ロゴはデジタルフォントになったシリアル100番前後からのダンブルアンプは多くの凄腕ギタリストに愛されています。(*ロゴは時代だけでなくモデルによっても異なるので参考程度にお考えください)

80’s DUMBLE – SKYLINER EQ-

ダンブルアンプは中期にかけてトーンスタック(EQ回路)を大きく変化させます。これは簡単にいえばフェンダー的トーン回路からマーシャル的トーン回路に変更された、もしくはゲイン段とトーンスタックの関係を変更した、ともいえます。それが「SKYLINE」や「SKYLINER」と呼ばれるEQセクションです。もちろん全ての80’sダンブルがそうであった訳ではなく、オーダーの内容やDUMBLEからのおすすめ/オーダー時のオプションとして【SKYLINER EQ】という項目が盛り込まれたと、いう事になります。他にも選択可能なEQセクションとしてダンブルのスタンダードともいえる【Ultraphonix EQ】などがありました。ブラックフェイス期のフェンダーベースマンにこのUltraphonix EQとゲインの調整を施したDumble-MODアンプも多く存在します。つい最近のDEAD & COMPANYのライブRIGでも登場したそうです。
この時代のアンプは初期モデルに比べて高出力ピックアップを搭載したギターやハムバッカー・ピックアップとの相性がさらに良くなり、オーバードライブ(歪み)も深くなっていきます。まさしくOVERDRIVE SPECIALの名に恥じないサウンドとして、広くその名を轟かせる事になります。この時代のダンブルサウンドといえばLarry Carlton、そしてRobben Fordのあの音を想像していただければ良いと思います。ほかにもSonny landrethのダンブルもこの時代のモデルだと思います。

まさにこの音!という感じのRobbenのダンブルトーン

そして下の動画ではフェンダーでもその音を出してしまうRobben…凄すぎる

https://www.youtube.com/watch?v=wQUH2yB_7Oo

それでも、Dumbleを使用しているライブなどでは、やはり音の奥行きと、その「凄み」が倍増されると思います。下の動画でクリーンから深いドライブサウンドへの境界線がない事を確認してください

その後、アンプロゴが筆記体になり「by Dumble」の文字がゴールドの表記となっていきます

90’s DUMBLE – HRM-

90年代にダンブルは個人顧客からのオーダー以外に一般的なアンプとして数台のアンプを販売しています。このあたりは私は資料を持っていないのですが、全く同仕様のブラックレザートーレックス/ブラックパネルのダンブルを市場で見る事ができます。

それまでパワーチューブに5881を使用する事が多かったダンブルですが、この時期のダンブルではEL34を使用したモデルを目にする事もあります。よりゲイン幅が広がり、サスティーンもさらにスムーズに変化しています。この時期からアンプに搭載されていたのがHOT RUBBER MONKYと呼ばれるオーバードライブチャンネルにのみ作用するEQスタックです。これは不特定の顧客に対してアンプを販売する際に、購入者が自身でクリーンチャンネルとオーバードライブチャンネル間での音量や音質を調整できるようにダンブルが盛り込んだ機能だ、と私は推測します。
この時代のダンブルは日本でも比較的(と言っても数台ですが)流通しており、目にした事/試した事がある皆様もいらっしゃるかもしれません。
このタイプのダンブルは特定の著名ユーザーのサウンドサンプルがないのですが、それまでのダンブルに比べるとアタックのコンプレッションが強めで、コンピーでありながらピッキングへの反応が素晴らしく、スムーズに伸びるクリーンサウンドが本当に特徴的です。基本的なサウンドは80’sと同じですが電源回路がさらに安定し、内部電圧も高くなった事でオーバードライブの深さや、その倍音も凄まじい。正しくリードギタリストには最高のアンプだと思います。レコーディングスタジオなどで見られる事が多いアンプですが、キース・アーバンのRIGで見た事があります。キース・アーバンはこの時代のダンブルに加えて初期のOVERDRIVE REVERBや60年代後期のダンブルPA/ベースアンプであるODYSSEYも所有されている様です。

この様に年代を通してDUMBLEアンプは進化している訳ですが、UAFX ENIGMATICではその年代の仕様を本体+アプリで再現できる様になっています。とにかくライン録音でこの音が得られる事が本当に喜ばしいです。プレイバック時だけでなく、演奏していても楽しいデジタルアンプ。UAFXシリーズはアンプを購入してコレクションする様にレジェンダリーなサウンドをコレクションする事が可能です。

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村田

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