こんにちは。和田です。
先日アップした 【ブログ】推しの1発ギターキャビネット(Suhr Cabinet 2機種の違い) の最後に出て来た疑問
8Ωと16Ωで音違うの??
について本日触れていきます。
当店の一番推しのキャビネットである Suhr PT15 112 Cabinet が8Ω、WAREHOUSE Veteran 30搭載のSuhr 112 Cabinet も8Ωと同じΩ数のものを扱っていますのと、近年は8Ωのキャビネットが主体となっております。
実際にはMarshallやBongerの様に16Ωが主体となっているブランドもありますので、店頭でも
Ω数で音違うんですか?
と、いうご質問をたまに受けますので、ここで触れて行きます。
まずΩ数の違いについて。
CelesionやEminence等の有名メーカーのHPを見ればわかるのですが、Ω数が選べますよって事は記載しておりますが、Ω数によるサウンドの違いは特に記載されていません。
実際に色々と電気系統、オーディオ関連、ギタースピーカー関連の様々な説明を読み漁りましたが、ほぼ全てで共通して書かれているのが、
Ω数による音の違いはほとんどない
と、いう内容でした。(そうなんですね…。)
ここでちょっと電気のお話。
実際はΩ数が少ない方が電気抵抗が少ないので、その方が電気の流れは良いです。(小学校で習っているはずです。頑張って思い出してみましょう!(私は忘れてましたが…))
つまりは8Ωより4Ωの方が電気抵抗が少ないので、その方が大きな音量が出ると。
なので、限られた電力しかないカーオーディオ等のパワーアンプでは、あえて小さいΩ数スピーカーを使用することにより音量を稼いでいるとの事です。って事は
Ω数が少ない方が音量が出てよいのでは?
って、事になりますが、そうはいかないのがこの世界。(ホントややこしいなこの内容…。)
大きな音量を鳴らしたり、迫力を出そうと思えば1発のスピーカーだと限界があるので、2発にしたり、4発にしたりとスピーカーを繋げる必要があります。
その時にインピーダンスが大きいスピーカーが必要となってくる訳です。
基本的にはスピーカーは並列で接続するので、その際のインピーダンスの計算式をみればその理由は良く分かります。(と、言っても文系の私では上手く説明できません…。)
エミネンスHPにめちゃくちゃ分かり易い内容のものがありましたので、ご参照ください。
※参照ページURL:https://www.eminence.com/support/wiring-diagrams/
Wiring Configuration for 2 Speakers in Parallel |
Two 4 ohm speakers = 2 ohm load Two 8 ohm speakers = 4 ohm load Two 16 ohm speakers = 8 ohm load |
Wiring Configuration for 2 Speakers in Series |
Two 2 ohm speakers = 4 ohm load Two 4 ohm speakers = 8 ohm load Two 8 ohm speakers = 16 ohm load |
Wiring Configuration for 4 Speakers in Parallel |
Four 8 ohm speakers = 2 ohm load Four 16 ohm speakers = 4 ohm load Four 32 ohm speakers = 8 ohm load |
Wiring Configuration for 4 Speakers in Series/Parallel |
Four 4 ohm speakers = 4 ohm load Four 8 ohm speakers = 8 ohm load Four 16 ohm speakers = 16 ohm load |
1.の図がまさに定番の2発キャビネット、そして最後の図(4.)が4発キャビネットの構造を現しています。
※気になったので、実際に私が所有している4発キャビネットをバラして配線をメモってみましたが、接続方法はバッチリ同じでした。(そうでなかった場合、それはそれで問題か…。)
3.はMarshall1960キャビネットのモノラル接続時の左側4Ω時と思われます。
(Marshall 1960A HP: http://www.marshallamps.jp/products/cabinets/1960a/ )
2.の2発による直列の接続方法は基本的には使用しません。この接続の場合、片方が飛んでしまった時にどちらも音が出なくなり、アンプ側に負荷がかかってしまうので、ギターキャビネットではこの方法はまずないそうです。(CAJ 千葉氏談)
こう見ると大音量を出す為にはΩ数(インピーダンス)の高さも必要となってくる訳です。
が、これって2発とか4発キャビネットでの話です。
ここまで綴ってしまいましたが、自宅でもアンプを楽しめる事を考えて、1発キャビネットを推奨している当店としては、この内容はほぼ関係ない!(言ってしまった…。)
Suhr PT15 112 Cabinet に使用されているCelestion G12H-75 Creamback だって、ラインナップ上は16Ωもあります。って、事は
16Ωでも良いのではないか??なぜ8Ωなの?
やはりピート・ソーン氏の拘りか?
こりゃわからんぞ…。
って、事でΩ数の違いによる音の違いはあるのか?をCAJ 千葉氏に聞いてみました。
色々な理由はあるんですが、長くなるのでかなり要約すると
音は違う
との事です。
各メーカーはΩ数は違っても音は同じように製作しているとの事なのですが、色々な要因を考えるとそんな事はないと…。
ですが、そもそもスピーカー自体の個体差が大きいので、判断がかなり難しいのと、使う(音を出す)って事はエイジングが入ってしまうので、使う程にどんどん音は変わっていってしまう訳です。
個体差に加えて、エイジングが入ってしまうと、もはや違いはわからなくなりますよね…。
要するに、音は違うんだけど実際には
比べようが無い
と、言う訳です。
そんな事よりも、大音量を出すための組み合わせやら、音の事やらノイズの問題やらなんやらで、
他に考えないといけないことがたくさんある
ので、
そっちの方が重要だ。
という事です。
Ω数は音がと言うよりも、色んな組み合わせを考える時の選択肢としての方が重要って事でした。
うーん、深い…。
ちなみにSuhrのキャビネットが8Ωの理由は、Suhrのアンプは基本的には8Ωですよっていう基準で製作しているからとの事です。(あ…、しれっと答えが出てしまった…。)
Mesa/Boogieのキャビネットが8Ωなのも同じ考えからだそうです。
で、Marshallは基本的に16Ωを基準としているから16Ωという事です。
ちなみに以前は16Ωのキャビネットがメインでしたが、前述の通り近年は8Ωが主体となっています。
その理由は単純でした。
スピーカーのメインだったcelesion社の生産状況の都合で、Marshallにしか供給しないよって時期があり、そうなればMarshall社以外はキャビネット製作できないやん…って事態に陥りますよね。
その際に各メーカーはスピーカーをEminenceやEV(Electro-Voice)に移行していく訳です。その中で、Celesion社以外は8Ωが主体だったというのがあり、その時期から8Ωが主体となっていったそうです。
まさかの
大人の事情ってやつですね…。
ちょっと反れましたが、本題である
8Ωと16Ωで音違うの??
ですが、実際に音は
違います
と、いう事なのですが、既に記載している通り、実際には
比べようがない
という結論です。
ここまで辿り着くの長かった…。千葉さん聞かなかったら無理でした…。
千葉さん、ありがとうございます!!!
Ω数については重要な内容があるのですが、それについてここで綴るともう長すぎるので、例の如く次回にします。ちなみにその内容は
アンプのΩ数とキャビネットのΩ数は合わせた方がよいの?
です。
かなり重要な内容です。お手持ちのアンプやキャビネットを痛めてしまわない為にも必ず読んで頂きたい内容になる予定です。
なので、次回にじっくりと…。
※次回のブログはコチラ↓
【ブログ】Ω数は合わせないといけないの?
それでは。
和田