【村田ブログ】SuhrのPLEXIサウンド

【村田ブログ】SuhrのPLEXIサウンド

PLEXI サウンドを考える

John SuhrによるMarshall PLEXI(プレキシ/もしくはプレクシ)の再定義、という事で発売当初から話題のSL-67/68アンプ。先日動画を公開しました

SL-67が50W、SL-68が100Wという違いはあれど、基本的にはPLEXモデルのキャラクターをベースに、John Suhrならではの手法で「新しいアンプ」に生まれ変わっています。

「オールドアンプ」の「何が」良いの?

オールドマーシャル、と呼ばれるアンプの代表格は1967-69年ごろまでのMarshall 1959 Super Leadアンプ(=SL)でしょう。Cream時代のクラプトン、ジェフベック、ヘンドリックス、ジミーペイジ、ポールコゾフ、ヴァン・ヘイレンなどがジューシーで倍音たっぷりの、そのPlexiサウンドを我々に印象付けたと言っても過言ではないでしょう。

Plexi前のJTM45アンプを100W仕様にオーダーしたピートタウンゼントとジョン・エントウィッスルはマーシャルアンプの立役者でもあります。

誰でもPlexi(JTM)とVOX Wahが欲しくなってしまう動画

コンサートのジミ・ヘンドリックスといばMarshall Plexi

Jeff Beck Group 1968
ベックは50Wマーシャルを長年愛用していたと言われています。

コゾフの音はまさに「焦げ臭い」マーシャルサウンド

フェイズアウトしたレスポールの音色をクランクアップしたマーシャル(Super LeadとSuper Bass)と組みわせたペイジのシグネイチャーサウンド

ジミーペイジ的プレキシサウンドを進化させたエディーヴァンヘイレン

これらのサンプルを聞いてどう思われましたか?

1)はいはい、PLEXIサウンドね。知ってる。プラグインでも最近はこの音が出せるね!

2)全部同じPLEXIというアンプなの?全然音が違うんじゃないか?

おそらく、このどちらかではないでしょうか。

さて、1)の場合、本当にプラグインでこの音が出せるのでしょうか?答えは「出せます」です。おそらくブラインドテストで聴き比べても、多くの方が本物のアンプにマイクを立てた音とプラグインのPLEXIサウンドの違いに気づかないレベルまで持っていくことができるでしょう。では、なぜわざわざハードであるアンプに70万円も出す必要があるのでしょうか?答えは簡単です。弾いていて気持ちが良いから、です。プラグインではこの弾き心地は絶対に得られません。プラグインでの演奏とは絶対的に差が出ますし、ダイナミクスはまるで別物、という感じです。それでも使い勝手やシチュエーション、音楽によってはプラグインの方が有利な場面が多いでしょう。ただ、ハードでなければ絶対に得られない体験は決して少なくありません。

2)の場合、少し調べれば多くの皆さんが「ギターやピックアップが違うんだよ」「エフェクターが違うんだよ」「エコープレックスやUniVibeが入っていると違うんだよ」という事に気がつくでしょう。でも、それだけでしょうか?

PLEXIとは特定のアンプを指すものではない

PLEXIとは特定の年代(1967年から69年ごろ)のマーシャルSuper Lead もしくはSuper Bassアンプを指します。100Wのモデルも50Wのモデルも存在します。それだけでなく、67年から69年までのPLEXIにも実はかなり仕様変更が加えられており、6種類ほどのバージョンが存在すると言われています。という訳でサウンドにおいても仕様においても「100WのマーシャルPLEXI」ではなく「どのバージョンのPLEXIか?」ということが重要になってきます。
それだけでなく、Super Lead? Super Bass? Super Tremolo? 100W? 50W? … 正面からの映像ではとても判断できません。さらにどのブランドの真空管が搭載されているのか?ジミーペイジはEL34ではなく6550を搭載していた?ヘンドリックスのPlexiはKT66が搭載されていた?6550を搭載した個体もある?これらはどこで判断するの?…もう大変です。

加えて、2024年現在、57年前のヴィンテージアンプが正常に作動しているとは思えません。過去に色々と修理や改善(のつもりで改悪される場合も…)もあった事でしょう。もしかするとハイゲインにモディファイされてしまったかもしれません。故障したトランスが交換されているかもしれないし、コンデンサは交換されていて当たり前。これらは良くも悪くも、必ず音に影響するはずです。

面倒なことは抜きにしてPLEXIを楽しめないのか?

ジョン・サーはオールドアンプ/ヴィンテージアンプを知っているだけでなく、数々の「現役のミュージシャン」達と交流しています。さらにオールドアンプをHODROD化しセンシティブでモダンなアンプに進化させ、後にCAA 3+やOD-100という時代を牽引したアンプをデザインしました。さらにFender在籍時にはエリッククラプトンの1958 Tweedレプリカアンプを作った人です。

そのSuhrが考えるPlexiアンプがSL-67(50W)とSL68(100W)のMKI(マーク・ワン)でした。これらはヴァンヘイレイ登場以降のアメリカンロックの基本となる音、という印象で、音量を上げた際にのみ得られるパワーアンプ部分でのディストーションサウンドや独特のプレゼンス・サチュレーションというPLEXIの質感を残しながら、低域のサウンドのMODなど、より現代的なサウンドにチューニングされていました。また、マスターボリュームを装備しており、PLEXIに後からマスターボリュームを増設する様な改造とは異なり、かなり自然に音量だけを変化させることができます。

MKIとMKIIの違いは?

今回入荷したSL-68 MKIIはSL-68 MKIをベースに、さらに手を加えられています。それはブラッシュアップというよりも「オリジナルPLEXIに近づける」ためのものです。

SL-68 MKIは「Suhrの考えるPLEXI」でしたが、SL-68 MKIIは「リアルなPLEXI」のサウンドも得られる様にデザインされています。その肝を握るのが3つのミニスイッチです。

  • FATスイッチはONでMKIのサウンド、OFFでMKIIのサウンド=ヴィンテージPLEXIの締まった低音を感じることができます。
  • MID-BOOST スイッチ(BST)はOFFでMKIIのサウンド=ヴィンテージPLEXIの音です。
  • PRESENCEスイッチはOFFでMKIIのサウンド=ヴィンテージPLEXIの音色、ポジション1がSuhrのMODマーシャルのサウンド、ポジション2はヴィンテージPLEXIのサウンドです。

これにより「誰のPLEXI マーシャルサウンドが欲しいのか?」という問いに答えられるサウンドが瞬時に得られます。エディーならFATオン、ブライトスイッチはポジション1、ヘンドリックスならFAT オフ、ブライトスイッチOFF、ジミーペイジならFATオフ、ブライトスイッチポジション2…という具合です。

だから面倒なことは抜きにしてPLEXIを楽しめるんです

これがSuhrのPlexi、是非お試しください。

商品ページはこちら【New Plexi】Suhr SL-68 MKII 100watt

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