高品質なデジタルモデリングプロセッサーを輩出するフラクタルオーディオ。今回は新しく登場したVP4 ”バーチャルペダルボード” をピックアップしてみます。
丁度、個人的にも様々なペダルを使用する必要がある=でも電車で移動しなければならない、というタイミングでVP4をチェックしました。
移動する荷物は減らしたいけど必要なペダルを用意したら、とんでもなく大きなペダルボードになってしまう…パワーサプライ電源はどうする?パッチケーブルは…と悩んでいる時に、このVP4はそのすべてを解決してくれそうだと思ったのです。
音を出してチェックをしていくと想像以上の音質と考えられた機能、インターフェースの使い勝手が素晴らしく、完全に当初の予算の範囲外でしたが即購入を決めました。という事で、実際に使用した感想と共にその機能をご紹介していきたいと思います。
アナログアンプ/アンプモデラー/シミュレーターに最適な「ペダルボード」
このVP4はドライブ/コンプ/ディレイやフィルターなど、約400種類のエフェクトを備えています。それらはAXE-FXで非常に高い評価を得ている高品質で「自然な」サウンドを持っており、普段ヴィンテージから現行品までのアナログペダルを愛用している(私の様な)皆さんにも違和感なく受け入れられるでしょう。
バーチャルペダルボードの意味
VP4には同社AXE-FXの様にアンプモデリングを含みません。膨大なエフェクトライブラリーの中から4種類のエフェクトを選び、一つのプリセット毎に配置します。それは例えば10個のコンパクトエフェクターが組み込まれたペダルボードの中から特定の曲に必要なペダルを選び出す作業と同じです。
例えば…
- 1曲目:トレモロ/オーバードライブ/ディレイ/リヴァーブ
- 2曲目:タッチワウ/ディストーション/トレモロ/リヴァーブ
- 3曲目:ピッチシフター/オーバードライブ/ディストーション/ディレイ
- 4曲目:ファズ/オーバードライブ/リングモジュレーター/リヴァーブ
- 5曲目:ペダルワウ/ヴァイブ/ファズ/レズリー
- 6曲目:ディストーション/ゲート/グラフィックEQ/エンハンサー
- 7曲目…
現代の音楽では、この様に曲毎に使用したいエフェクトが大きく変わる事が多いと思います。そしてこれこそが、皆さんのペダルボードがどんどん巨大化する理由の一つでもあると思います。しかしながら、ひとつの曲中で使用するペダルは多くても6個程度なのでは無いでしょうか?VP4を使用すればこの一台+アルファで、かなりのサウンドをフォローする事ができます。
例えば「どうしてもこの音は譲れない」というペダルを含みつつ、フックとしてしか使用しない「効果音ペダル」や「特定の曲のイントロでしか使用しないトレモロ」他にもレズリー、ピッチシフトなどはVP4で賄ってしまえばどうでしょう?さらに音楽はポップスだけど、一曲だけどうしてもハイゲイン+ゲートでバッツリ音を刻む、超ヘヴィーリフを弾く必要がある場合…貴方ならどうしますか?その為だけにハイゲインペダルとゲートをボードに仕込みますか?VP4なら新しいプリセットを作るだけでサイケなロックからポップス、ダンサブルなシンセサウンド、ファンキーなクリーン、激ヘヴィーなリフに最適なトーン…その根幹を作り出す事ができます。
シーン機能を使いこなす
VP4をはじめ、フラクタルオーディオではプリセットの他に「シーン」というプログラムを更新する機能を持っています。プリセットが「エフェクトの順序や選択を切り替える」機能であることに対し、シーンは「選択されているエフェクトのパラメーターやON/OFFを切り替える」事ができます。
例えば同じオーバードライブを選択していても「ローゲイン/シャープなEQセッティング」と「ハイゲイン/ファットなEQセッティング」ではまるで違った音になります。リヴァーブも同一セッティングでありながら「浅いリヴァーブ」と「深いリヴァーブ」を切り替えられます。さらに同時に複数のペダルのON/OFFも切り替えられますので、プログラムチェンジよりも自然に、サウンドに変化を加える事ができます。ワーミーのピッチを+12 octから-6 octに瞬時に切り替えながら、ディレイのフィードバックレベルを上げるetcの複雑なコントロールがワンアクションで可能になります。この機能はレコーディングされた現存の楽曲をライブで表現する際にかなり効果的に使用する事ができるでしょう。また、例えばドライブペダルというカテゴリの中から歪みの種類/音色をシーン毎に変更する事が可能。同じプリセットでもシーン1ではオーバードライブ、シーン2ではファズ、という風に切り替えられます。例えばバッキングのリヴァーブはPlateでソロはHall…という場合にも最適で、しかもパラメーターも変更できる点が素晴らしい。プリセット切り替えとは異なり、リロードの時間が必要ないので音切れを気にしなくて良いのは嬉しいですね。
使い勝手の良い4つのフットスイッチ
VP4には4つのフットスイッチが備えられています。このスイッチは選択されたエフェクトのリアルタイムON/OFF以外にも、様々な機能をアサインする事ができます。アサインされた機能はスイッチを長押しする事で機能します。例えば…
- プリセット呼び出し
- シーン切り替え
- エフェクトの個別オン/オフ
- チューナーモード/タップ
つまり外部ペダルなどを用いる必要なく、VP4本体だけで様々なアクションを行う事ができます。各スイッチへの機能はもちろん自身で変更可能です。
コンパクトな筐体
さらにサイズが絶妙で、重量は約2kgほどなのでコンパクトエフェクト数台という感じ。私の場合であればチューナーはVP4に搭載されているので必要なく、他に必要なペダルが2つくらいなのでパッチケーブルとシールドを含めてもギターのギグケースにすべて収まるではありませんか。うーむ…
…この調子で行くと機能紹介だけ1週間くらいかかりそうなので、今回はひとまずここまで。
次回は実際に使用するにあたってのプログラムや操作方法などを探っていきたいと思います。
村田
その2はこちらから https://www.hoochies.info/item/column/mrtblog/fractal-vp4-2