#1に続き、フラクタルオーディオVP4についてまとめていきたいと思います。今回は「これぞデジタルマルチの醍醐味」と言えるポイントをまとめてみましょう。
気の利いたGATE機能
VP4を手に入れたらまず最初に確認して欲しいのがINPUT周辺のセットアップです。ハイパワーP.Uとヴィンテージピックアップで同じセッティング?それではこのプロセッサの真価は理解できません…
GATE TYPEでは信号の強弱でノイズを切るCLASSICから電磁干渉を抑える INTELLIGENT、そしてREDUCERから選択できます。なお、使用する地域において必ず50Hzと60Hzの切り替えを設定してください(東京は50Hzです)この辺りの設定がよくわからない/難しい場合は単純にCLASSICモードを選択してHzを50もしくは60にセットしてください。Thresholdは左に回し切ってOFFにしても良いですし、ギターを弾いていない時の待機ノイズを切るために少し上げておけば良いと思います。
さらにマニアックなExpert設定 -IMPEDANCE-
GATEページで【◀︎PAGE】 と【PAGE▶︎】のボタンを同時に押すとExpart設定の画面に入れます。実はVP4では可能な限りシンプルなコントロールで音作りを行える様に、考え抜かれたパラメーターのみが表示されています。しかしながらマニアックな皆さんであればこうしたいだろうなぁ…という玄人向けの設定が隠されているのです。ちなみみに、このExpart設定はエフェクターの設定ページにも隠されております。
という事でGATEページからExpert設定に入ると…インピーダンスの設定が可能になります。ここは1M AUTOにしておけば間違い無いのですが…ファズを使ったりVibraatoを使う時は…ねぇ?という事でフラクタルAXE-FXではお馴染みのマニア向けセットアップにも対応します。
レベル設定とEQでアンプをドライブさせたり大人しくしたり…
各プリセットのMan Levelページでプリセット毎に音量調節が可能です。真空管アンプに接続する場合、この設定をうまく行えばブースター的に使用する事も可能です。またプリセットEQページではプリセット毎に10バンドのEQで音色を補正可能です。全く同じエフェクトの設定でも、このEQを駆使する事でより多彩な効果を生み出せます。アンプがJCの場合とVOXの場合でEQ補正してもよし、音量調節に使うもよし…便利です。
並列と直列
Preset RoutingページではルーティングやkIll Dryなどの設定が可能です。求めるサウンドに応じて例えばリヴァーブとディレイを並列にしてそれぞれのクリアな効果を求めても良いですし、あえてディレイとリヴァーブを直列にセットする事で生まれる融合サウンドを楽しむ事もできます。並列はセットアップと音作りが意外と難しいので基本的には直列を推奨します。
多彩な接続セットアップに対応
一般的なエフェクトボードと同じ様に、ギターからVP4に接続、そしてアンプやデジタルプロセッサに接続する以外にも多彩な接続方式が選択できます。
例えば4ケーブルメソッド(4CM)接続で使用する場合、ギターからいくつかのコンパクトペダルを経由してVP4に入力。VP4で4CMモードを選択するとプリとポストにそれぞれ何台エフェクトを配置したいかを選択できます。例えばギターからODペダルやFUZZを経由し、VP4へ。VP4の最初の2つのエフェクトをアンプの手前側に配置。その後信号をアンプへ送り、アンプのエフェクトセンドの信号をVP4のINPUT Rへ。VP4の後段の2つのエフェクトを経由してVP4 OUT-Rからアンプのリターンへ。これで4CMが完成します。VP4のエフェクト(1/2/3/4)の「どこまでをプリ」「どこからをポスト」に配置するかは設定可能です。
もっとシンプルに現存のアナログペダルをアンプ手前で。アンプのセンドリターンにVP4を接続、という使用方法も良いでしょう。VP4は入力レベルのPad設定(0から-18dBまで4段階)が可能なのでピックアップ直の信号から高出力プロセッサの入力レベルにまで対応します。さらにSPDIF入出力(48k固定)を完備しており、デジタルプロセッサ間でも威力を発揮します。
フラクタル製品とのコンビネーション
すでにFM3などのフラクタルオーディオ製品をお持ちの場合、SPDIFケーブルにてFM3とVP4を接続する事でより遅延の少ないデジタル信号での処理が可能になります。さらにMIDIケーブルをリンクさせる事でFM3側からVP4を一括コントロールする事も可能です。これによりリアルタイムコントロールはもちろん、大掛かりなサウンドの変更もワンアクションで行う事が可能になります。信号的にはギターからVP4、そしてFM3を経由してアンプやミキサーに立ち上げます。
様々なエクスプレッションペダルに対応
リアルタイムで様々な効果を生み出すためにはエクスプレッションペダル(以降EXP)が必須です。VP4は最大抵抗10k-100kまでのEXPに対応し、キャリブレーション機能を活用する事で様々なEXPで理想的な可変カーブを設定する事が可能です。2つのEXPが接続可能なので、一つはVOLUME PEDALとして、一つはワウやワーミー、ディレイのフィードバック調整などにアサインする事が可能です。これはModifierと呼ばれており、プリセット毎に割り当てる機能を変更可能です。VP4を効果的に使用するためには是非、EXPを活用してください。
まだまだたくさんの機能がありますが、この辺りの機能が使える事を理解しておけばVP4が「4台のエフェクターを同時に使う事ができるマルチエフェクト」というだけでは無い事が理解できると思います。さて、次回は実際のエフェクトを見ながらそのサウンドを探っていきたいと思います。