ヴィンテージと新品【UAFX ENIGMATICに絡めて】

ヴィンテージと新品【UAFX ENIGMATICに絡めて】

UAFX ENIGMATIC 動画に関してもう一つお伝えしたい事がありました。本編の動画では3本のギターでサウンドチェックを行いました。

  • 1964フェンダー ストラトキャスター
  • 1964 エピフォン リヴィエラ
  • 2024 クルーズ ヴィンテージラインLED1959

ストラトに関してはダンブルアンプのシミュレートといえば…と言う事で使用しています。10-46ゲージのDR TITE-FIT 弦を張って半音下げチューニングにしています。この年代のフェンダーストラト(ジャガーやジャズマスターも)はピックガードが縮んだり変形してしまい、極端に縮むとネジ穴付近で割れてしまう事も少なくありません。SRVのNO.1ストラトなどもピックガードを交換していますが、その理由はこの縮んでしまった事が原因でしょう。縮んだピックガードは6弦側ネックピックアップ付近でピックガードとボディー間に隙間が生じます。これにより、独特のネックピックアップの音色となります。ENIGMATICはその雰囲気も見事に、まるでアンプから鳴らしているかの様に再生してくれました。 *ちなみにTONEコントロールの位置がバラバラですが、実際には全て「10」の状態だと思ってください(Knobが壊れています!)

エピフォン・リビエラに関しては同じくSRVがストラトを愛用する前に(?)使用していた事や、ロベンフォードが1966年モデル(?)をストップテイルピースに交換して愛用していると言う事、そしてラリーカールトン等名手がセミアコでDUMBLEを鳴らしているイメージも含めて使用しています。同じく10-46ゲージのDR TITE-FIT 弦を張りました。
このギターは同年代のGibson ES335TDと同じ工場/クオリティー/マテリアルを持つだけでなく、64年から正式採用となるロングヘッドでありながら63年までのナット幅を維持したトランジションモデルです。また、66年から採用されるチェリーフィニッシュを採用し、ファクトリー純正のビグスビーユニットを搭載した珍しい個体です。レイヴォーンのRivieraは63年との事ですが、氏もチェリーフィニッシュのモデルを手にしていることから当時からオーダーでは存在したのだと推測されます。

特徴的なピックアップはミニハムバッカーですがネック側がPAF、ブリッジ側がNumberd PAFとなっています。過去に当店で販売した63/64のES335でも同じ様にネック側PAF、ブリッジ側Numberd PAFのコンビネーションを確認しています。Numberd PAFはPAFに比べると低域がタイトで音の減衰が鋭い、キレのある音色だといえます。つまり、このコンビネーションには意図的に狙った音があるのではないでしょうか。

ミニハムバッカーに関しては(一般的な)ラージハムバッカーに比べると全体的にやや低出力でタイトな印象で、ヴィンテージセミアコならではのカラりとした楽器の鳴りを、そのまま出力してくれます。テレキャスターの様なサウンドから動画の様にスムーズなリードサウンドまで対応する素晴らしいギターの音をENIGMATICは見事に増幅しています。

最後にCrews LED-1959です。こちらは最新モデルでピックアップにはK&TのIMD59 が搭載されています。あえてここでヴィンテージギターを使用しなかったのは「ヴィンテージギターだからその音が出るんでしょ?」という話を否定したかったからです。LED1959は単なるBurstのコピー品ではなく、マテリアルなどはオリジナルに準じていますが製法や演奏操作性/テンションバランス等、ヴィンテージギターの良さと改良点をうまくミックスしています。もしさらにヴィンテージ的なサウンドに仕上げるのであればピックアップのマグネットをエイジド仕様に変更したり、テンションバランスをタイトにしてやる事で雰囲気が出てきます。今回の動画では弦はスタンダードなERNIE BALLのSLINKY10-46ゲージでしたが、他のギターの様にDR TITE-FIT 弦を張ってみても良かったかもしれません。
しかしながらギターをCrews LED1959に持ち替えた際に音に現れている豊かな低域や深みのある音色は新品のギターでも質の良いオールドギターに劣らない音が出ている(しかも弾きやすい)と言う事を証明してくれていると思います。ストラトもリビエラもリフレットし、かなり弾きやすく調整済みではありますが、それでもLEDが圧倒的に弾きやすいギターでした。
是非、店頭にご来店の際にはLED1959もお試しください。

村田

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