ワウペダルの始祖であるVOXワウ、中でも最初期のワウペダルは通称「クライドマッコイ・ピクチャーワウ」と呼ばれており、マニアには有名なモデルです。その後、ペダル正面に「VOX」のロゴが入ったクライドマッコイの後続モデル「シグネイチャーワウ」が登場。その後、モデル名を「VOX V846」と変更し、以降V846は多くのミュージシャンに愛用されてきました。2024年にVOXがクライドワウ、そしてV846をそれぞれ細部に渡り再現。「本物のV846サウンド」を持ったワウペダルがついに発売となります。
販売価格:¥33,440(消費税込み)
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1967年のオリジナル・クライドマッコイから1969年ごろまで採用されていた筐体を3Dスキャニングして再現。特徴的なボディーシェイピング、ボトムパネルの形状も再現しています。当然ペダルの可変範囲がそのサウンドに影響を与えています。
勿論、エフェクト効果も67年クライドマッコイとは異なるサウンドを忠実に再現。クライドマッコイに比べると「やや派手」なサウンドで、ペダルを踏み込んだ際のピーク感も気持ちの良いものです。
ワウサウンドの要とも言えるインダクタコイルと可変ポット、そして内部の配線材もVRMとV846のためにカスタムデザインされており、当然V846のインダクタとポットはVRM/クライドマッコイモデルとは異なります。
ヴィンテージ・イタリアンワウでしか得られないと言われていた「あのサウンド」が見事に再現されています。
〜以下メーカーサイトより引用〜
オリジナルのブランドによるオリジナル=ヴィンテージVOXワウの完全再現
1967年 VOXブランドから登場、クライド・マッコイ(Clyde McCoy)氏のトランペットのミュート奏法を再現するために開発されながら、瞬く間にギターの表現力アップに有効であることが判明したWah-Wahペダル。それがジミ・ヘンドリックスやエリック・クラプトンといったアーティストが象徴的なパフォーマンスや楽曲を生み出すために使用したペダルです。その後、70年代、80年代から現在までワウを1台も持っていないギタリストはめずらしいほどでしょう。
現存する当時の実機は現在ヴィンテージ・ユニットと呼ばれ、希少であるだけでなく、その時代ならではのトーンを持つ機材として、高い人気を誇っています。しかし、それらのヴィンテージ機材は高価で、部品の信頼性も現在の基準から見ると低く、ステージでの使用は現実的ではありません。つまり金銭的に手が届かなかったり、交換部品の入手が非常に困難になっているといった実用性に難があることが事実なのです。
今回VOXはオリジナルのワウを徹底研究、その秘密を解明することに焦点を当て、伝説的なトーンを求める人々に、マッコイ・ワウとV846の究極に理想的な個体と全く同じトーン特性を持つ「新品」を提供する目標を達成しました。
SPECIFICATIONS
INPUT端子:1 x モノラル・フォーン・ジャック
OUTPUT端子:1 x モノラル・フォーン・ジャック (to amplifier)
電源::1 x 9V乾電池(6LF22/6LR61、006P)(別売)
消費電流:540µA(9V DC)
電池寿命:約100時間以上(アルカリ乾電池使用時/条件により異なります)
外形寸法 (W X D X H):102 x 253 x 80 mm / 4.02 x 9.96 x 3.15 inches
重量:1.3 kg / 2.86 lbs (not including battery)
〜開発秘話〜
究極に理想的な個体を見つける
ヴィンテージ・ワウは、ユニットごとにサウンドが異なることで有名です。シンプルな回路と個体差が大きい部品により、同じ製造ラインの2つのワウの音色の違いは、「昼と夜」ほど違う、と言えるほどでした。今回はその、しばしば「Holy Grail = 聖杯」という言葉で例えられる、究極に理想的な個体と呼べるビンテージの実機を手に入れることで開発がスタートしました。
象徴的な周波数カーブの秘密
完璧なユニットを入手すると、すぐに標準的なオールドの個体と周波数特性のA/Bテストを開始しました。ここから、「究極 」ユニットのユニークな周波数カーブを生み出すヴィンテージ・パーツの背後にある魔法を理解するための私たちの長い旅が始まったのです。
①インダクター
「Halo」インダクターは、ヴィンテージ・ワウの心臓部であり、「魂」でした。ヴィンテージ・ユニットのインダクターの特性を正確に測定することで、私たちのワウに使用するHaloインダクターのレプリカを作り出しました。VRM-1とV846 Vintageでは、トーン特性の違いを出すため、インダクターを若干変更しています。VRM-1は象徴的な鼻にかかったトーンで、中域が強調され、ウォームな、歌うようなトーンが得られます。リードギターの1音1音の表情を際立たせる奏法に最適です。V846 Vintageは、よりアグレッシブなトーンで、スウィープ・レンジが広く、高域が強調されています。いわゆるワウワウ効果の決定版と言えるサウンドです。前述したように、ヴィンテージ・ワウはヴィンテージ部品の許容差により、結果的な特性には個体差が生じていました。しかし、インタクターを構成する中心的な部品であるコア材を微調整することで、特性を大幅に安定させることができました。これにより、求められるトーンを損なうことなく、すべてのユニットで一貫したトーンを提供できるようになりました。
②ポット
ペダルからギヤを経て動く可変抵抗=ポテンショメーターこそが、ワウのスイープに命を吹き込むパーツであることは明白でしょう。正しい寸法で設計された筐体(後述)に組み込まれる事により、ヴィンテージのニュアンスを再現するのに重要なパーツになります。ヴィンテージから取り外し、同じカーブになる様に調整して、粘りのある音色変化を作り出しました。VRM-1とV846 Vintageでは異なる抵抗値、カーブにしています。
③トランジスタ
ヴィンテージにも使われているのと同様の型番と外観である、BC109という金属缶パッケージのトランジスタを使用しています。缶タイプは、外装部分がトランシスタの端子の一部であるため、組み立てると直面する底板の影響を受けやすい構造になっています。同様のトランジスタが入手できたものの、60年代の部品と比べて音色が違ったため、音色の調整をするため回路を追加しました。そのためオリジナルには見られない追加部品がありますが、違った時代のパーツで昔を再現するための工夫を加えたのです。
④抵抗
ギターアンプにおいて「カーボンコンポジット」抵抗が珍重されることがありますが、60年代後半になると安価で品質の安定した「カーボンフィルム」抵抗が一般的になりました。
68年に始めて登場したWahにもカーボンフィルム抵抗が採用されていました。
今回の復刻でもカーボンフィルム抵抗、ただ大きめの1/2Wサイズを使い、チップ抵抗や1/4W抵抗とは違った柔らかなヴィンテージ・ワウの質感を再現しています。
⑤コンデンサ
Wah回路において、特に音色に影響を与えるコンデンサは2個所に使われる容量0.01uFの物です。
ヴィンテージ・ワウに搭載されるコンデンサは特殊形状のため現在において量産で使う事は不可能でした。
本製品にはメタライズドポリエステルコンデンサを採用し、10種類以上の候補からもっとも深みのある音色のコンデンサを選びました。
⑥ケース
ケースの設計はWahというエフェクト・ペダルの構造において、足を置く角度やペダルの可動範囲に影響を及ぼすため、重要な要素になります。表情豊かにWahをコントロールするには、足の感覚をたよりに微妙な操作が必要になるため、たとえ電子部をすべてヴィンテージから乗せ換えたとしてもケースが違えば”別物”に感じてしまうでしょう。
そこで新規に金型を起こすべく、ヴィンテージを分解して下ケースとペダルの3Dスキャンを行いました。ヴィンテージと同じ角度で動くペダルはポットと合わさってヴィンテージ・ワウのニュアンスを再現します。
エフェクターは「ケースで音が変わる」という事が巷では言われています。最近ではブラスなどユニークな素材を使った他社製品も見られるようになってきました。これは大なり小なり事実ではあり、ヴィンテージで使われている金属もまたそのフェクターの音色へ影響を与え、独特なサウンドを奏でます。特にWahは消費電流が1mA以下でインピーダンスが高い回路のため、他のエフェクターに比べると周囲の影響が大きくなります。
素材に関しては当時と同じくアルミを採用しましたが、ヴィンテージと比べるとアルミ材に含まれるアルミ以外の材の比率の違いにより、試作は音色について高域が少しロールオフしていました。そこで、GNDの取り方をオリジナルから変更しています。ジャックで発生する高域成分の減衰を少なくするため、ジャック部ではケースとジャックのGND部を絶縁するため、ワッシャーを追加しています。
また、ケースだけでなく底板もビンテージ愛好家の間では「Wahの底板の材質で音が変わる」という認識が行きわたっており、現に底板を変えると音が変わる事を確認しました。つまりヴィンテージの再現には、底板を取り付けたときの音色を含めて再現する必要がありました。本機は、音色変化の大きな鉄製の板を加工する事により、Vintage同様の60年代後半に聴かれたような感情豊かに歌うような音色を奏でます。
⑦線材
シールドケーブルで音色が変わるように、ハイインピーダンスな回路なワウでは線材による音色の影響は無視できません。一般的には細い線材では、音色的にはレンジの狭い細目な音となり、太い線材を使うとレンジ広くて高域まで伸びた音色になる傾向があります。
一般的に線材は撚線が採用されており、上記の傾向はその撚線1本の太さと、本数によって決まっている事が分かりました。むやみに太い線材を採用するとぎらついた音になっていき、ペダルがつま先側になった時に耳に痛いサウンドになっています。通常使われる事が多い線材は「AWG24 芯数 11本で、素線サイズが、0.16mm」、「AWG26 芯数 7本で、素線サイズが、0.16mm」が通常ですが、今回採用した線材は「AWG24 芯数 7本で、素線サイズが、0.2mm」芯線の本数は7本を増やすことなく、1本あたりの線材を太くしたことにより、ぎらついた音になる事無く、カカト側でも芯のあるしっかりした音色となりました。
最後に
VOX Real McCoy とV846 Vintageは、ヴィンテージサウンドを1人でも多くの人に体感してもらおうというエンジニアの情熱により実現することができました。一度手にとって試していただければ数多くのマスターピース作品から流れてくる名演のサウンドと同じフィーリングであることをきっと感じることができるでしょう。
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