【連載コラム】USAGI NO MIMIの楽しみ方【RADIO HEAD/IN RAINBOWS】

【USAGI NO MIMIの楽しみ方】今回40代男性がピックアップするのがレディオヘッドのIN RAINBOWSです。USAGI NO MIMIで聴いて、驚いた音源の一つであります。

まずは音の定位感というか、音の配置。かなり色々な音が散りばめられていますが、それぞれがきちんと聴こえます。特にボーカルの定位、センター位置の存在感。これは、USAGI NO MIMIが云々ではなく、バンドの音の組み立てが完璧だからだと思います。しかしながら、その事をマジマジと感じさせてくれるUSAGI NO MIMIは素晴らしいと思います。わざと位相をズラしてるんだ!など、レコーディング/ミックスの手法もよく分かります。

この先品は突然メンバーのブログで作品の完成が発表され、先行ダウンロード販売(リスナーが価格を自由に決定できた)と豪華なボックスセットの異なるフォーマットの販売方法など、そもそも話題性がありました。が、何より凄いのはそのアルバムの楽曲と「音」「録音」だと思います。

そしてレディオヘッドがすごいのは、あの楽曲と複雑なサウンドレイヤーを、ライブで再現してしまうところにあると思います。一般的に「楽器が上手い」的なカテゴリーでは語られないバンドだと思いますが「自己の表現に必要なスキル」がめちゃくちゃに高いバンド・ミュージシャンだと思います。

from BASEMENTシリーズより。このシリーズはRADIOHEAD以外のミュージシャンのパフォーマンスが素晴らしく、ミュージシャン/バンドの演奏力や狙いがストレートに感じられますよね。

レディオヘッドは曲により、メンバーがそれぞれ異なる楽器を持ったり、同じギターでも音の位置/音色を変えるために楽器を持ち替えます。「なるほど、そこはSGなのか」「なるほどあそこはジョニーがパーカッションなのか」など、バンドが考えている音楽を冷静に理解できます。楽器が変わると音も変わる、そんな当たり前のことでも音源を聴いただけでは分かりづらい事が容易に読み取れます。

多彩な楽器を操り世界観を作り上げる「天才」トムヨーク。
ナイーブでかなり尖ったサウンドからメランコリックなフレーズまで、その両極を備えた演奏で楽曲の雰囲気をまとめ上げるジョニー・グリーンウッド。
そして、この二人の強烈な個性を、安定した演奏で支えるエド・オブライエン。
ファンキーなグルーヴとミニマムなフレーズ、独特のテンションサウンドで楽曲を支えるコリン・グリーンウッド。
コリンのヘヴィーなベースサウンドに対し、やや腰高でサスティーンさせない、ある種イギリス的?なドラムサウンドが特徴のフィル・セルウェイ

特にUSAGI NO MIMIでRADIOHEADを聴くと、エドの存在感が今までよりも強く感じられます。クラシックロックのテイストやジャズ、ブルースと言った古典的な音楽要素を音楽の先端にいるバンドに加えるその役割。このRADIOHEADというバンドのメンバーは一人一人誰が欠けても成り立たない存在感を持っているのだなぁと改めて感じます。
加えて作曲も行うフィル・セルウェイの歌心あるドラムプレイ。初期作品で聴けるダイナミクスをやや抑え、最近は機械的なリズムを軸にしている様に感じますが、コリンとのグルーヴは非常に念密に練られた抑揚を含んでいると思います。

RADIOHEADは「バンドサウンド全開の」1stアルバムから常に変化し続けています。
現在に繋がる方向性を打ち出したOK COMPUTER、その大作の次作というプレッシャーの中でさらに新しい要素を盛り込んで名盤となったKID Aを生み出すパワー。アルバム毎に新しい手法と音楽、音をつくりだしながら、一貫して失われないRADIOHEADらしさ。今回改めて、リスナーを突き放すかの様にアルバム毎に次のステップへ進むRADIOHEADの音源を1stから通して聴きたくなってしまいました。特にOK COMPUTER以降のRADIOHEAD作品を是非、USAGI NO MIMIで聴いてみていただきたいと思います。すごいです。楽器も音楽もダイナミクスとグルーヴが非常に重要だという事がよく分かりました。

ちなみにOK COMPUTERのリマスター版をUSAGI NO MIMIで聴いたところ、スリリングなサウンドや音の定位はリマスターでより明瞭になっている事が理解できました。わずかに漂っていたモヤが晴れて、各楽器のサウンドが以降の音源と同じ様な解像度に感じます。そして、リマスターはもしかすると「ミュージシャンに向けたもの」なのかも、とふと思いました。なんの裏付けもないのですが。

とにかく今、USAGI NO MIMI で音楽を聴いてみるという事が、ものすごく楽しいです。皆様も是非、体験してみてください。

余談ですが、トムヨークのエレクトリックレディースタジオでのライブ

すごい。まるで本番のレコーディングさながのクオリティー。ギミック無し。
衝撃的ですら、あります。

エレクトリックレディースタジオの興味深い話はこちらから
https://www.redbullmusicacademy.jp/jp/magazine/the-soulquarians-at-electric-lady-an-oral-history

MWrata

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