【コラム】ソープバーピックアップについて

by Stuff 【MW】

INTRO

ストラトやテレキャスターでおなじみのシングルコイルピックアップ、レスポールやES-335などでおなじみのハムバッカーピックアップ… 世の中の多くのギターには、この2種類のピックアップが搭載されていると言えるでしょう。加えて、ギタリストであれば外せないピックアップがあります。それがP-90(以下ソープバー)と呼ばれるピックアップです。

K&T “SUPER BAD” PICKUP

このピックアップは1946年にギブソンから登場し、以降「ギブソンのシングルコイル」として定番となっています。1954年から1956年ごろまでのレスポールモデルに搭載されている他、エピフォンのカジノに搭載されていることでも有名なピックアップです。

K&T “SUPER BAD” DOG EAR STYLE

1957年にハムキャンセル効果を持ったデュアルコイル・ピックアップであるHBが登場して以来、ソープバーピックアップはギブソンのメインピックアップの座を奪われます。その後はステューデントモデル等に搭載されるイメージが強くなったと言えます。

構造とサウンド

ソープバーは構造的にシングルコイルピックアップであることには変わりありません。しかしながら、フェンダーのシングルとは異なります。よく、ジャズマスターのピックアップと外見が似ている為、同じような音色のように語られますが、そのサウンドは全くの別物だと言えます。

大きな違いはマグネットにあります。ジャズマスターピックアップは6本のポールピースに直接着磁が施されていますが、ソープバーの場合はハムバッカーと同じバータイプのマグネットが採用されており、バーマグネットがスティールのポールピースに接地することで、ポールピースが磁力を持つことになります。しかも、ハムバッカーがバーマグネットを1本使用しているのに対し、ソープバーは同じバーマグネットを2本使用しています。これにより、アタックがパワフルな印象になると思います。また、ジャズマスターピックアップに比べ、高域成分は抑えられ、ミドルの存在感を強く感じると言えます。

ハムノイズ

ソープバーはシングルコイル構造のため、ハムキャンセル効果がありません。そのため、ハイゲインサウンドにおいてはハムノイズが強調されます。これは他のシングルコイルと同じです。ただし、高域が抑えられミドルレンジのパワーが感じられるため、フェンダー系シングルコイルよりもノイズは少なく感じるかもしれません。もっとも近年ではノイズを抑えた製造法をメーカー各社が採用しており、当店でもおなじみのクルーズの「VAGAS」ピックアップなどはかなりハムノイズを抑えていると言えます。

また、ピックアップ界の大御所、K&Tのソープバーピックアップはかなりハムノイズを抑えており、さらに「高域の物足り無さ」を補う様な音色に感じます。これに関してK&T高野氏は以下の様にコメントされていました

「コンディションの良いヴィンテージのソープバーピックアップを知る人は、ソープバーがノイジーなピックアップだとは言わないでしょう。もちろん経年変化で劣化/減磁してしまったソープバーピックアップは非力でS/Nの問題からもノイジーに感じるかもしれません。また、例えばアルニコの種類が違う54年モデルと59年モデルを並列に考えるのも難しい。おなじソープバーでも、かなり音色に違いはあります。何れにせよ、K&Tではベストコンディションのソープバーピックアップ本来のサウンドを再現しています。メロウな54タイプとロックな59タイプ、それぞれに特徴があります」

“Boogie-J” TAKANO (K&T)

国内外のピックアップ・ブランドでもコイルのターン数を増し、S/N比を良くしてノイズを感じさせないように工夫するなどしています。

PRS McCarty 594 Limited

ゲキ渋な佇まい

PRSのMcCarty 594の限定モデルであるソープバーピックアップ搭載モデルではダンカンにソープバーピックアップを別注。以前のPRS/ダンカン別注ソープバーはかなり「HOTな」印象でしたが、594に搭載されているソープバーピックアップはパワフルでありながら程よいパワー感に仕上がっており、ギターの構造的な特徴も如実に感じられるピックアップだと思います。とても良いギターなのでお見逃しなく。

サイドパーク店ストック Click

Crews VEGAS P.U

クルーズマニアックサウンドでは以前よりソープバーピックアップである「VEGAS」を搭載した楽器を製作しています。ロングセラーモデルと言える「VEGASシリーズ」ではブリッジ側とネック側に異なるレシピのピックアップをセット。ネック+ブリッジのミックス時はハムキャンセルします。

Rabbit Is マットブラックはレアカラー

また、Rabbit isシリーズとFallin’ Angelではネック側にVEGAS、ブリッジ側にHBをセットし、LP Jrスタイル・ソリッドボディーのサウンドをさらに現代的な解釈で楽しめるようにデザインされています。クルーズのソープバー搭載モデルは、その弾き心地も含めて、年代やジャンルを問わずご愛用いただけるギターだと思います

約2000グラムのFallin’ Angel 弾いてびっくりのサウンド

ソープバーピックアップ愛用者たち

なんとなく亜流に感じてしまうかもしれないソープバーピックアップですが、歴史に名を残す名演でも多く愛用されていた事もあり、ジャズ、ブルーズサウンドにはもちろん、ロックサウンドにも欠かせないサウンドだと言えます。その醍醐味はやはりスピード感がありながらアタックサウンドにパンチがある事。フェンダー系シングルが「ジャラーン」であれば、ソープバーは「ガツーン」でしょうか。シングルコイルの中でもストロングなイメージです。例えば、ウッドストックのSANTANAのパワフルなサウンドを思い出してください(知ってください)

ピートタウンゼントやジョニーサンダースが聞かせたロックンロールサウンドからは、そのガッツとキレを感じます。

レズリーウエスト(マウンテン)のインパクトある存在感にソープバー搭載のシンプルなLP-JR.というマッチングが妙。そしてこの音。

マニアックなノンリバ・ファイヤーバードを愛用するゲム・アーチャーのギターサウンドからはソープバーの良音を沢山チェックできます。

若き日のGatemouth Brown!

ロベンフォードも自身のオリジナルモデルでソープバーをセレクトしたり、オールドのゴールドトップをプレイしていた印象が強いと思います。

かと思えばオレンジカウンティーのアウトサイダー、ソーシャルディストーションのマイクネスのサウンドもイメージできます。

OUTRO

これらの事実から感じられる様に、ソープバー搭載ギターのかっこよさは「その渋さ」だと思います。メジャーなスタイルではないけれど、ギタリストなら誰でも興味がある。そして通好みのプレイヤーに愛用者が多い…例えば、下の写真奥のゴールドPRS 594・ソープバーリミテッドをジャケットを羽織って構えたら…それだけで「この人、良いギター弾きそうだな…」と感じると思います。
手前のクルーズ CP-01は見た目は可愛いけどなんかチョットとんがってるイメージ…女性でも男性でもそう言う雰囲気があると思います。

Crews CP-01 想像以上にアコースティックなサウンドです

ファーストギターとしては敷居が高いかもしれませんが、複数本ギターを所有している皆さんであれば間違いなく、ソープバーピックアップのサウンドが欲しくなるはず。是非、お試しください。

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