【BLOG】アコギ用ペダルボードに歪みペダルが入るワケ

【BLOG】アコギ用ペダルボードに歪みペダルが入るワケ

本日はギタリストN様がアコースティック(エレアコ&エレガット用)のボードをご依頼に来店されました。

・アコギのボードなのでプリアンプが欲しい
・スティール弦とガット弦を持ち替えるので、プリンアンプは2chあった方が良いかも

と言う事で事前にご相談いただいておりました。

ちなみにエレアコはTylar
エレガットはクルーズのEG-1500Cを愛用されています。

ショッピングページはこちら https://www.hoochies.info/item/acoustic/cms-aco/eg-1500c/ltd-walnut/

お話を聞くと、今回のボードはHIPHOP/シンガーのアコースティックセット/ライブ用との事。
フレーズはワンフレーズ・ループ系(手弾きです)が多い。そしてセッションっぽいイメージ(=フリースタイル。ジャムでソロパートもあるかも)で行く、と言う事でした。

ヒップホップのトラックはオールドスクールなイメージで言えば、基本的にウワモノはサンプリング/カットアップの元ネタがあって、それらをリズムに乗せていくと言うことになると思います。

簡単にいってしまえば、ミニマムなリズム+ネタ元からのサンプリングで曲/トラックを作ると言うことですよね。もちろん、今時はもっとスマートなのだと多いますが、基本はここでしょう。

さらにストリングががっつり入るんですよね、という事。

ストリングは生楽器なので、とにかく音が強い。そういった現場で、アコースティック/ガットギターの存在感を出していくのはなかなか難しいと思います。特にその大所帯のアンサンブルの中で「ギターの自然な良い音」を残すのは難しい。エレアコ・エレガットでも、まずストリングスに音圧・レンジで負けてしまうでしょう。アンプで増幅すれば?音響PAで補正すれば?そんな簡単には…いきません。ギターの「音の居場所」をギター演者が自らが作る必要があります。

そこで今回はまず、音を際立たせるために
Strymon COMPADREをチョイスしました。

今回のケースに限らず、色々と音の処理を始める前には単純に、楽器からの音を出来るだけシンプルに「良い音」に仕上げる必要があります。まずは一般的に「いい音ですね」という音に仕上げなければ。幸い、今回のテイラーとクルーズEG-1500Cはその点は簡単にクリアできました。そこにCOMPADREのStudioモードのコンプをかまします。するとアタック音が際立ち、音の存在感が増します。さらに原音とコンプ音のミックスが可能なので、攻めた音作りをしても音色的に破綻することがありません。一聴して自然に、音を際立たせる事ができます。

さらにCOMPADREにはブースターが搭載されています。
FLAT BOOSTで単純に音量を稼ぐ事もできますし、MID BOOSTモードであえてミドルレンジを強調する事で、アナログレコードからサンプリングしたギターサウンドの様なテイストを加える事もできます。これが、ギター単体で聴いていると「ナシな音」にも聞こえるのですが、アンサンブルに入った途端にギターの存在感が出て「イイ感じにアリな音」の音になります。

さらに「もっと積極的に音を歪ませてみてはどうだろうか?」と言う話になりました。つまりは「リボンマイクを立てて、アナログ卓で録音した様な、少し音がサチュった感じ」または「レコード針がレコード盤に当たっている感じ」を狙う+もっとワイルドなサウンドも…あくまでイメージですが↓

↑(神様)の様なサウンドから本格的に歪んだサウンドまで。

と言う事で、それならコレしかないでしょう。
EMD PD-1です。

このペダルはクリーンと歪みの境目がなく、本当に自然に音がサチュレーションして、歪んでゆきます。さらにADDコントロールがラインやアコギアンプでも、耳当たりの良い、心地よいドライブサウンドに仕上げてくれます。

これが非常に効果的。アコギ用プリアンプではまず得られないサウンド。そしてデジタルシミュレーターでは得られないタッチレスポンスを生みます。ガットでもいい感じに。結構歪ませても…かっこいい音。

元々使用する予定だったStrymon TIME LINEと組みわせて、その素晴らしさをより一層実感しました。

こうなるとアコギ用プリアンプはいらない。

でもガットとスティールで同じEQ設定は厳しい。場合によってはハウリング対策も必要か?

そこで、プログラマブルEQであるSOURCE AUDIO EQ2をご提案。
セットしてみます。

このEQはデュアルEQ(2個の並列EQ)を2つのインプットに割り振って、いわゆるステレオ的EQな使用方法から一方はアコギ/一方はエレガット、等として使用できるだけでなく、EQ設定のプリセットも可能なのです。そこでハウリングポイントを探りつつ、スティール用、ガット用でEQ処理。さらに音量レベルもプリセット毎にセット可能です。これでほぼ全ての目標がクリアできました。もちろん、プリセットはMIDIで呼び出し可能。128プリセットを外部コントローラーから呼び出せます。

しかし、今回はシンプルに↓を使用してスイッチを踏むごとにエレアコ用/エレガット用のプリセットが入れ替わる様にセットします

続いて、やや気になったのはデジタルノイズと音の質感
上質なStrymon Ojaiパワーサプライを使用しているものの、アコギなのでもう少しフルボディーな印象の音にしたい

そこで試してもらったのがAlbedo Hodos DC Power Cableです。入荷したばかりですでに品薄なほど人気のケーブルですが、このケーブルならば…

結果は大成功。

ご本人も「え?こんなに変わりますか?」と驚くほど。耳当たりの良い、深みのあるサウンドが得られました。この音の傾向は本当に嬉しい変化で、ダイナミックで低音もしっかりとしています。

この方向がお好きであれば…と言う事でDIに使用するバランスケーブルをVOVOXからAlbedo “Pura Quad Shielded” Balanced Cableに交換します。「これ、マジですか?」とあまりの変化に驚き。スピード感があり素直なVOVOXよりも、今回は中〜低域がしっかりとしたこちらのケーブルがピッタリときました。

それなら…と。

楽器用のケーブルもAlbedoに変えてみると「あ、トゥーマッチですね」と。TYPE-B/TYPE-M共にそれまで詰めてきた傾向と一転する印象でした。このあたりのチョイス、そして判断のスピートが、プロですね。

そこでCAJのMaster’s Choice Cable ”MCB”をつなぐと「キましたね」と。全ての音の方向性が決まりました。

と言うわけで、本日はチェックする予定だったDCケーブルの傾向と実際の変化に加え、アコギで「攻める音作り」の実践もできました。あとはボードを組んで…と言う事で完成したらまたご紹介したく思います。

写真はサウンドチェック後のボード。
セットアップはこれから、です。パッチケーブルは悩み中。

村田

Return Top