【連載コラム】USAGI NO MIMIでDAFT PUNK “RAM”を聴く 〜Paul Jackson Jr.〜

【連載コラム】USAGI NO MIMIでDAFT PUNK “RAM”を聴く 〜Paul Jackson Jr.〜

先日のUSAGI NO MIMIコラムを書いていて思いましたが… ポールジャクソンJr.のギターの凄さを改めて感じております。この方は、超一流のセッションマンとしてはもちろん、ギター界の重要ポジションに常にいらっしゃいます。

現在リバイバルしている80’sミュージックですが、そのギターサウンドメイクのスタンダードを作った1人は、間違いなくポールジャクソンJr. だと思います。フュージョンサウンドのリバイバルにも一躍買っているはず。

ヴァレイアーツとKEMPER… さすが…

このリバイバル・ブームに関しては色々な流れがあったと思いますが、2013年に発表されたダフトパンクのランダムアクセスメモリーズのヒットがメジャー的な動きを活発化させたと言えます。あのサウンドはディコティックでありながら、まさに70-80’sフュージョンの音であり、フレンチテクノ+西海岸テイスト=フュージョン/ディスコティックで「音楽」を完璧にアップデート。DAFT PUNK ミーツ LAの職人ミュージシャン達による素晴らしい音楽の宝庫です。

そう、マイケルジャクソンを聴いてダフトパンクを連想してしまったのです…
まさに、このMASHUP…

当時リード曲の “GET LUCKY” が大ヒットし、N.E.R.Dのファレル・ウィリアムに加え、フューチャリングアーティストとしてナイルロジャースの名が挙がった事で、幅広い世代の音楽ファンが注目。そのグルーヴィーでキャッチーなサウンドは瞬く間に世界を圧巻。まさクラシックになるべくしてなった曲だと言えます。(そういえばこのアルバムのレコーディングも…エレクトリックレディースタジオ(外部リンク)でしたね)

余談ですが… ナイルロジャースとオマーハキムといえば… Bowieの”Let’s Dance”コンビでもありますね。

ナイルロジャースのフューチャリング感というか、この曲のキーワードが「ナイルロジャース的な」ものであったという事はダフトパンクとファレルの共通のイメージだったという事ですが、それはGET LUCKYの話。ギタリスト的観点で言えば、やはりポールジャクソンJr.のギタリストとしての仕事っぷりに注目してしまいます。

やっと本題です

まずはアルバムの1曲目。ドラマチックなオープニングの後、静かにグルーヴィーなあのカッティングに注目せざるを得ないと思います。Give Life Back to Music… 音楽に命を取り戻す!

曲名からして最高。
まずイントロはナイルロジャースのカッティング(太陽にほえろの井上堯之さんを連想してしまうのは私だけでしょうか…)で幕を開けますが、すぐにポールジャクソンJr.必殺のミュートカッティングが。このグルーヴ、間違いなくポールジャクソンJr.のギター!と叫んでしまうことでしょう。以前、PRSのJA-15(氏のシグネイチャーモデル)を弾いた時に「あの曲のサウンドだ!」と思いました。氏は近年、McCartyやHollow Bodyをはじめ、様々なPRSギターをご愛用中です。

この曲で言えばまずギターは間違いなくPRSのマッカーティー(ホロウ)だと思いますが、使いこなしが素晴らしい。

ど頭のカッティングの後のミュートプレイのピックアップポジションはミックスでしょう。

歌が入る0:52あたりのタイミングでネック側P.Uをコイルタップ(パチっ!というコイルタップ時のノイズ?が聴けます)そのまま片側タップのミックスポジションで弾いて、次のバースに移る際にネック側ピックアップに切り替え。ファンキーな単音カッティングのあと、またミックスポジションへ切り替え…という、もう… PRSマッカティーのお手本の様なサウンド&使いこなし!楽曲は当然エディットされていると思いますが、ギターで言えばワンテイクのレコーディングだと思います。

そして次の曲、Giorgio by Moroderはもうミュージシャンであれば正座してきくべき曲でしょう。

イタリアの偉大なる音楽家、テクノそしてItalo discoの父Giorgio Moroderへのリスペクト。全編アルペジエーターで埋め尽くされるシンセサウンドに熟練のミュージシャン達の熱演が加わります。

前半と後半でリズム隊が入れ替わると言うこの構成は、おそらくアルバム制作途中でエディットされたアイディアだと思います。

Giorgio Moroderが自身のヒストリーを語るバックで演奏されるGiorgio Moroder調の楽曲。トークとリンクする楽曲…全編で聴けるポールジャクソンJr.のカッティングの妙、キレとグルーヴはもちろんですが、ドラムとベースの格好良さも仰け反りそうです。

Nathan EastとJohn “JR” Robinsonが前半、そしてブレイク後からJames GenusとOmar Hakimが後半に派手なサウンドで盛り上げます。オマーハキムのドラムをトリガーとしてエンヴェロープで「ブリブリ」なフィルターサウンドを作り上げ、そのままポールジャクソンJr.のベタベタなギターフレーズへ… 最後のモーグサウンドまでが完璧すぎます。

ジョルジオ様、最高! METROPOLISも観たくなっちゃうー!

https://www.youtube.com/watch?v=30hr7DyAuAY

と言う訳で、アルバム一枚丸ごと振り返っていると仕事にならないのでやめておきます。

今回、USAGI NO MIMIでDaft Punk “RANDOM ACCESS MEMORIES“を聴いて、猛烈にギターが弾きたくなりました。USAGI NO MIMI、やっぱり良いです!

ところで…

PRSギターといえば、2000年代初頭から、なんとなく「ハードなロック向けの」ギターのようなイメージがあり、日本国内では特にCUSTOM22/24のイメージが強いとのことですが、本国ではグルーヴ系職人ギタリストが多く愛用しています。ほかにもカントリー系セッションの名手(ブレントメイソンやジョニーハイランド)のシグネイチャーも発表されていましたね。日本国内ではあまりヒットしなかったイメージがありますが、それはやはり音楽的な土壌の違いでしょうか。

しかし、昨今は国内でもシティーポ… 広い意味でフュージョンの再評価高まっており、音楽的にも音色的にもポールジャクソン Jr.やノーマンブラウンのギターが、多くのポップスにサンプリング(あるいは拝借?)されています。

そういった事も踏まえて考えると、近年ブルーズ路線からファンキーなポップスにシフトしたジョンメイヤーがPRSギターに信頼を寄せてシグネイチャーモデルを作った理由もなんとなく…想像できました。

また、ジョンメイヤーモデルのアンプ「J-MOD」のサウンド、あの音色のチューニングに最初は「?」でしたが、なんとなく納得せざるを得ません。必殺のクリーンサウンドとPRSのコンビネーションは、どこかPaul Jackson Jr.ら、スタジオ凄腕ミュージシャンのサウンドを連想させるものです。

https://www.hoochies.info/item/amp/prs-amp/post-14744/

アンプのリヴァーブにはBricasti Designを使ったりしていますしね。流石のこだわり。
皆さんもぜひ、耳の感度上げていきましょう。

まずは基本のグルーヴを体得しましょう。

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