【連載コラム】USAGI NO MIMIの楽しみ方 (20代後半男性の場合 その2)

みなさまいつもありがとうございます。渋谷店ニシキドです。
前回は主にSOULQUARIANSに注目し、受け継がれるJimiの意思とElectric Ladyのサウンドというテーマでコラムを書きました。

こちらのコラムで取り上げた“スタジオの音”や”空気の音”というのが今いちよく掴みづらいと思った方もいると思います。

ということで今回は僕自身が”空気の音”を初めて感じた作品とその内容に関して書いていきたいと思います。

それはEXTREMEの4thアルバムです。

SOULQUARIANSからはだいぶかけ離れましたが…SOUL、R&Bなどのカルチャーや音楽に触れたのはもっともっと後のお話でして…ニシキド・ヤングはハードロックやヘアメタル、ヘヴィーメタルに夢中でした。(もちろん今でも好きです)

当時の僕のギターアイドルはヌーノ・ベッテンコートとコッツェン、ザックにダイムバック。
ギターを触り始めた中学生の頃。町内会の行事でもらった図書カードを握り締め近隣の書店に駆け込み 漫画でも買うか〜と思っていたところ、目についたのはザックがランディV を2本抱えた写真が表紙のヤングギター。付録のDVDでは黒ラベルを何本も飲みながら30分程ひたすらオケもなしに弾きまくる大男ザック。衝撃を受けました。そこからですね…

そして高校に進学。「よし。バイトができるぞ。」両親にGibsonのLes Paulが欲しいからバイトさせてくれっ。と頼み込んでケンタッキーのキッチンでアルバイト。しかし…数ヶ月後、実際に手にしたギターはなんとDEANのMLでした…!!

さてそんな話は置いときまして、本題にいきたいと思います。

さらっとEXTREMEの歴史をおさらい

ファーストアルバム「EXTREME」の発表が1989年。

当時のシーンのカラーがよく反映されたサウンド。ギターサウンドに関してもエディからの色濃い影響が見受けられます。(ど頭のフランジャーの使い方なんか特に。)キャリア初期のヌーノはプリアンプにA/DA MP-1を使用していたことで有名ですね。他にもカーク・ハメット、ポール・ギルバートなどが使用していたので持っている(た)方もたくさんいらっしゃるかと思います。僕も持ってました。

エクストリームのスタイルを代表する作品である「Pornograffiti」のリリースは1990年。MVを見ていただければお分かりの通り派手でゴージャスな雰囲気がまだまだ残っております。

彼らの個性といえばご存知の通りファンクのエッセンスです。また楽曲には至るところにテクニカルギター要素が散りばめられており、ハードロックにファンキーさを持ち込む多彩性とフラッシーなソロ、印象的なリズムプレイも得意だったヌーノは一躍ギターヒーローに。アメリカ本国のお茶の間でも(??変な表現ですね)アコースティック曲「More than Words」が大ヒットしバンドとしての規模も次第に大きくなっていきます。

そんな中、次に発表した作品は1992年。よりドラマティックな展開、ホーンやストリングスを含んだビッグなサウンドの「III Sides to Every Story」コンセプチュアルかつドラマティックな作品ですが、よくまとまっているので非常にキャッチーに聴こえます。(Queenばりの厚く美しいコーラスワークも一役買ってると思います。)そんな中でも攻めたプレイはたくさん出てきます。特に「Cupid’s Daed」のラストフレーズは痺れますね。これはフレーズ覚えるの大変でした…リズムもトリッキー。

ここまでの3枚はファンキーなエッセンスと巧みなテクニックを盛り込みながら明るく爽やかでアッパーなもの、展開がドラマティックなものが多いです。全体的な音像も派手であり、スペースというスペースが割とみっちり埋め尽くされている感じです。多くの方のEXTREMEのイメージは3枚目までのこの感じだと思います。

しかし1995年に発表されたのは…

Waiting for Punchline/EXTREME[1995]

グランジブームの後期だったのでそういった”気怠い”要素に影響を受けたのではないか?と言われがちですが、どちらかというとクラシックロックサウンドへの回帰的な意味合いだと思います。(若干ツェッペリンぽい雰囲気を纏っているようにも感じます。)そこにファンキーな要素と時代背景、それまでに築き上げたスタイルをあえて抑え、0から捻り出したようなプレイやアイディアなど数々の要素が絡み合う中でこの独特のダークな感じが生まれたのかと思います。

こちらの作品は1993年の終わり頃からフロリダの「Criteria Studio」でレコーディングが開始されました。
このスタジオを選んだ理由はバンド全員が一遍に録音できる部屋があったからだと言います。

今も昔も一発録り自体はめずらしくはないのですが、気になるのはあれだけの音を重ねて、録音後のサウンド処理もガッツリしていたバンドがなぜ?というところ。ツアーのリハーサル中、こじんまりとしたスペースで音出しをしている時の生々しいサウンドとヴァイヴをそのまま作品に落とし込みたいと思ったそうです。(ちなみにプロデュースは3枚目と同じくヌーノとボブ・セント・ジョン。なのにこんなにもカラーが違う。)きっとそこには何か確信めいたケミストリーがあったことでしょう。もしくはバンドが新しいステップに向かうための攻めのタイミングだと感じたのかもしれません。

録ったサウンドは1曲終わる毎に同じくフロリダの「Cresta Moon」スタジオに行き、楽曲/セッションのヴァイブや興奮・熱量が冷めないうちに随時ミックスしていくという方式が取られていたそうです。いかに空気感を大事にしていた作品かわかります。

しかしながら諸事情があり、当初予定していたリリース時期から大幅にずれ込んでしまうというアクシデントがプロモーションに大打撃を与え、アメリカ本国でのセールスは不調。何より前作までの流れから大きく変わったことによって当時のリアルタイムリスナーは戸惑ったことでしょう…(みなさまはいかがでしたか?)

以下、Usagi no mimiで改めてこの作品を聴いてみての評論?です。

4枚目は「賛否両論なアルバム」、「問題作」などとされてますが“今までっぽくないだけで実に素晴らしい作品”だと思います。特にギタリスト/ベーシストにとっては嬉しい作品のはず。なぜならば…

それまでのヌーノのサウンドはガッツリ派手めなディストーションサウンドでした。(もちろんあのサウンドも好きです)しかしこの作品でのメインサウンドはWashburn N4(もしくはSSH使用のN4 Suedo、60年代のストラトも?)をFender Vibroverbに直挿し/フル10で作ったと言われており、クランチ〜強めのオーバードライブくらいまでの歪み感。手元のヴォリュームコントロールとピッキングの強弱をうまく駆使し紡ぎ出されるサウンドは、どのアルバムでのプレイより繊細でダイナミクスもありタイトかつパーカッシブ。それだけではなく逆に広大なスペースを自由に飛び回って浮遊するような余裕もアリ。さらにはドラム、パットのベース、ゲイリーのヴォーカルにも複雑に絡み合うという…今回このフレーズメイクの細かいユニークなプレイがより堪能できました。他にこんなギターを弾ける(弾いていた)人は彼以外にいなかったのではないだろうか。いやぁ本当にうまい…。これがヌーノの真骨頂…。

そして4枚目は前作までと違い全体的な音像に大きくスペースができたため、パット・バジャーの存在がより重要になってきます。このアルバムは一部の楽曲やセクションを除いて、全パート基本オーバーダブなしの1トラックのみ場合が多く、3枚目までの重厚なレイヤーの音像と比べると絶対に寂しくなるハズ…ましてやギターソロ時にバッキングギターなしなんて…と思うかもしれませんが、全く寂しさを感じさせません。これはパットのベースの凄さだと思います。楽曲や場面によって音色を結構変えており、ギターばりに前に出てきてヌーノと掛け合いをしてみたり…一定のフレーズがループされるセクションの中で唯一メロディアスに動き回ったり、ゴリゴリのユニゾンをかましたり…生々しく荒いサウンドの中に表情や色味、ストーリー性を与え、時に他パートの激情的な勢いをより増幅させたりと変幻自在のベースプレイは必聴です。

偶然にも現在 店頭にパットも使ってたMouradianのベースがあるので、こちらのレア物も要チェックです。探している方、いらっしゃったと思います。

さてさて話を戻します…

オススメな曲をいくつかピックアップしてもいいのですが、できれば全曲楽しんで頂きたい…というか選べない…それくらい各曲にハイライトがしっかりとあり、飽きることのない作品だと思ってます。プレイも楽曲も全く偏ってないのですが、なぜか統一感を感じる。そこに在るのが”空気の音”です。

荒々しく、”血と骨と肉”のような剥き出しのサウンドとその周囲に漂うヴァイヴ感。そして何より一触即発の”緊張感”。そこにはオリジナルメンバーであるドラマー ポール・ギアリーがプレイヤーではなくマネジメント側にまわりたいと希望を出しメンバーと衝突、制作途中でマイク・マンジーニ(現Dream Theaterのドラム)がサポートとして加わったりと人間関係の複雑化も原因にあったのかも知れません。実際このアルバムでは2人のドラマーによるプレイが混在しており、4、7、8曲目が別スタジオで収録したEXTREME w/マイク・マンジーニのサウンドです。他の楽曲と比べてみると荒々しさは落ち着き、サウンドがクリアで前に出てる感じがあるかと思います。楽曲や録音におけるコンセプトや方向性は大きく変わってないかと思いますが、ここに”スタジオの音”を感じることができます。

※余談ですがKISSのトリュビュートアルバムに提供したStrutterのカヴァーもこの時期の収録で秀逸です。KISSの名曲フレーズがあちらこちらに散りばめられている敬意と遊び心満点のカヴァー。是非チェックしてみてください。

その後、1996年ヌーノが脱退。ヴォーカルのゲイリー・シェローンはなんと1997年にVAN HALENへ加入。バンドは自然消滅となります。2007年にはドラマーにケヴィン・フィグェリドを迎えて再結成。2008年には5枚目のアルバムをリリースしますが、結成〜自然消滅までの最後のアルバムとなったのはこの4枚目でした。

最後に

正直なところ、このアルバムは異常なくらい何回も聴いてきたので、頭の中に残っている音だけでもそれなりに書けたとは思うのですがUsagi no mimiで聴いた瞬間…衝撃。新しい情報(気付き)が多過ぎて書く手の捗ること捗ること…

学生時代に使っていたポーダブル機や家庭用コンポでも”空気の音”が強く感じられた作品なので、元々”それ”がとても濃く出ている作品だとは思いますが、Usagi no mimiで改めて聴いてみると怖いくらいの迫力でした。この作品に関しては空間の演出(定位の配置)や奥行きなどというよりは、各メンバーの呼吸や鼓動が聴こえてくるようなえげつない生々しさを堪能して頂きたいです。妙にくせになる一枚のはずです。まるで実際にレコーディングの現場に放り込まれたかのようにあの空気感がヒシヒシと肌に伝わってきます。皆さんもUsagi no mimiでEXTREME Criteria Studioでの緊張感溢れるレコーディング現場に行ってみてはいかがでしょうか?

渋谷店 ニシキド

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